7月21日(月祝)と27日(日)に自然教室「季節の自然観察会」を行いました

 

みなさま、こんにちは。

 夏真っ盛りとなりました!麓より涼しいはずのエコパ伊奈ヶ湖でも最高気温が30℃を超える日が続くようになりました。そうした中ではありますが、エコパ伊奈ヶ湖では7月21日(月・祝)と27日(日)に「季節の自然観察会」を実施しました。夏の「虫」をテーマに、自然観察指導員の方と一緒に多くの発見を楽しむことができましたので、ご報告します。

 最初に、虫の「からだ」についてのお話を観察指導員の方から聞きました。

 下の写真は虫の複眼を模した透明ボードを通して虫の見ている世界を覗いているところです。虫の複眼は停止しているものはわかりづらいのですが、動くものはよくわかる仕組みになっているのですね。

透明ボードのレンズの数(25個)分の顔が映っていますね。わかるでしょうか?

また、虫は物の匂いは鼻ではなくて触角で感じることや、食性に合わせた口器(バッタは草を「かみ切る口」、チョウは蜜を「吸う口」、カブトムシは樹液を「舐める口」、セミは樹皮に「差し込む口」)をもっていることなどをイラストを見ながら予習し、いよいよ観察に出発です。

 まずはアリの観察、マツの稚樹を上り下りするアリを見ています。

 アリは樹液を直接吸える口を持っていません。では、どうするか。まず、「吸う口」を持ったアリマキが樹液を吸います。そしてアリマキの体を通ってお尻から出てくる排泄物(甘露)をアリは「舐める口」を使っていただくのです。茎を上に昇るアリはおなかを減らしていて、下に降りるアリは甘露でおなかを一杯にしているはず。おなかの膨らみ具合はどうだろう。目を凝らして観察をします。

 とにかく混雑しているアリの道です。「アリさんとアリさんでごっちんこ♪」と観察指導員の方が歌います。「ごっちんこ」で触角と触覚とを触れ合わせ同じ仲間かどうかを確認しているということです。

 次にグリーンロッジ横に回ると、ノリウツギの白い花が満開です。どんな虫が集まって来るのかについてイラストで紹介されました。ノリウツギが好きな虫は十種類近く。パーティーのようになりますね。

 南伊奈ヶ湖に下る道、アカマツの上方(瘤になっているところ、赤く囲っています)から松脂が垂れています。

指で示してくれている先の白い小さな粒々が松脂です。野球のロジンバッグや楽器の弦に塗布して使う滑り止めになります。

 次はセミについての観察です。エコパ伊奈ヶ湖にはセミが何種類も生息しています。まず、本を皆で見ながら解説を聞き、その後、セミの幼虫が出てきた「地面の穴」や「セミの抜け殻」を探して歩きました。

「地面の穴」や「セミの抜け殻」を見つけると、つい興奮してしまいます。

下の写真の赤丸の中にセミの幼虫が出てきた穴があります。よく見つけました!

 南伊奈ヶ湖に到着しました。虫にかじられたイタドリの葉があります。観察指導員の方から「みんなだったらはっぱをどうかじる?端っこから?真ん中から?」との質問。虫たちはどのような食べ方をしているのか、虫の口の形との関係から考えました。イタドリの葉の上でナナフシモドキを見つけました。「私は枝です」と身体を揺らす姿がユーモラスです。観察し終えたら、名残惜しいですが、葉の上にそっと戻しました。

 少し木陰になった小道ではヤマユリの花が咲き誇っています。素晴らしく豪華で、まさに「百合の王様」です。 どんな香り?蜜はどんな味?ほんのり甘い!

 ここで観察指導員の方から「ヤマユリは花が咲くまでに何年かかる?」の問いです。答えはなんと「5年以上」。長い年月をかけて花を群生させているこの場所を大事にしたいですね。

 さて南伊奈ヶ湖の西側、日当たりのよい土手を行きます。手を切らない様に気を付けながら「包丁草」に触れてみます。耳を澄ますとキリギリスの「ギーギー」という音が聞こえてきます。観察指導員の方の「魔法の四次元バッグ」からこの「ギーギー」音を出す模型が現れました。マジックテープと紙やすりがついたプラスチックの「羽」をこすり合わせると出てくる音、これが「ギーギー」の正体なんですね。

 木陰に入り一休み。小川の音を聞きながら水分補給をしました。

休憩をとっている間に観察指導員の方が温度測定をしてくれました。歩いてきたアスファルト上はなんと47℃。木陰は24.6℃でほっとします。流れる水は17℃、ひんやりととても気持ちよく感じます。

 休憩のあと、しばらくスギ林の中を進み、湖畔のベンチにたどり着きました。ここで今日の工作「セミ笛作り」が始まりました。

みんな夢中になって取り組んでいます。紙コップに羽と目をつけた「セミ」を全員がぶんぶん飛ばすことができました(高速回転しているので写真に「セミ」の姿が写りません)。 しかし、飛ぶだけではなく、セミには鳴いてもらいます。鳴かせるための最後の仕上げに「松脂」を用います!最初に観察したアカマツの松脂、これを「セミ」の紐に塗ります。すると、松脂の滑り止め効果で生じた振動が紙コップの空洞で共鳴し「セミ」が鳴きだします。セミ笛は本物のセミが鳴く仕組み(発音筋の振動を腹部の空洞で共鳴させて大きな音を出す)を模した、シンプルな優れものです。松脂の乾燥具合や塗る量によって音が大きかったり小さかったり、試行錯誤も楽しみのうちですね。

 暑い中でしたが、初夏の季節ならではのいろいろな生きものについて見たり聞いたり触れたり嗅いだり味わったり!五感を総動員させた観察会となりました。

 

エコパ伊奈ヶ湖では毎月たくさんの自然教室を開催しています。

これからの予定はこちらのチラシ→2025年度7-9月の自然教室チラシ – エコパ伊奈ヶ湖やホームページ→プログラム・イベント【受付中】 – エコパ伊奈ヶ湖をご覧ください。

皆様のご応募、ご参加をお待ちしています!