6月の自然情報

夏鳥の声だけが、霧の向こう側で木霊(こだま)する朝。
深呼吸をすると、森の香り、土の匂い、水分の多い空気が肺に飛び込んできます。
白い霞(かすみ)の先には、まだ見ぬ動物たちの息遣いが聞こえるような……。

とうとう関東地方は梅雨入りを果たした今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

6月といえば梅雨。
梅雨といえば街中のアジサイの花が美しい時期ですね。

エコパには「コアジサイ」というアジサイの仲間がいます。

普段目にするアジサイにある、花びらに見える部分(装飾花)がありません。

コアジサイは一つ一つがとても小さい花で、大輪のアジサイと比べると地味に感じるかもしれません。

しかし鮮やかな緑の葉の数々と、黒々と濡れた土の中では、この小さくとも白い花はよく目立ちます。

白い花といえば、前回のモミジイチゴですが……。

とうとう実がなりました!

この黄色い実は甘酸っぱくて、森の動物たちのご飯になります。
山の下ではサクランボ狩りが始まりました。
6月は私たちだけではなく、森の生きものたちにとっても実りの時期になります。

じめじめとした梅雨時期。
エコパでは、カエルの時期でもあります。

モリアオガエルです。

木の上に登って、葉の間に泡に包まれた卵を産みます。
森林科学館のカエル池の木の上には、重そうな泡巣が木の上からいくつも垂れ下がっています。
卵を産んで約2週間後、6月の中旬頃になれば、泡の中からオタマジャクシが這い出て下の池にポチャンと落ちる光景が見られそうです。

先日の自然教室のカエル調査隊でも、

「カラララッ カラララッ」「コッコッコッコッコ」

映画のような、深い森を思わせる声が静かに響く山の中。

エコパの静かな梅雨は、まだ始まったばかりです。